初めて投稿させていただきます。
ロンドン出身のロックバンドHard-FIのデビュー作。
彼らはワーキングクラスの出身で、メッセージ性の強い歌詞を書くところからもThe Clashと関連付けられて紹介されることの多いバンドでもある。
昔のロンドンパンクを髣髴とさせる荒削りの楽曲から、現代風にスタイリッシュにまとめられた楽曲まで、以外にも幅は狭くない。こういった点もクラッシュ譲りといえるのかもしれない。
近年、RadioheadやColdplayに代表されるようなインテリ風のバンドが幅を利かせるブリティッシュロックシーンの中にあって、楽でないワーキングクラスの日々を時に悲しく、時にひょうきんに切り取るというブリティッシュロックの原点のような姿勢を持つ彼らは少し異端にも感じられる。
きっと、まだピストルズやクラッシュが叫んだ理不尽は30年たっても消えていないのだ。そして、それがなくなる日は来ないのかもしれない。
寂しく響く鍵盤ハーモニカのチープな音に乗ってそんなことをぼんやり思い浮かべてしまう。
サッカーやロックといった”持たざる者の文化”であったものが、次第に世界を包むカルチャーへと発展していった過程には、きっと彼らが持つような圧倒的な生気と貪欲さが不可欠だったのだとも思う。
ともすれば歴史のメインラインから簡単にこぼれ落ちてしまうような大衆文化に対する視点を常に失いたくないとぼんやりと感じる。